夫と息子を爆弾テロで失った主人公は、絶望の中で一つの決断を下す。「観客も予測できないエンディングになったと思う」

テロで夫と子を失った女性の愛と復讐

第75回ゴールデングローブ賞の外国語映画賞、第70回カンヌ国際映画祭の主演女優賞に輝いたドイツ映画「女は二度決断する」。4月14日の公開を前に、ファティ・アキン監督、主演のダイアン・クルーガー、共演のデニス・モシットが来日し、都内で記者会見に臨んだ。

ドイツ人女性のカティヤは、ネオナチによる爆弾テロで、トルコ系移民の夫と幼い息子を失う。犯人は捕まり裁判にかけられるが、証拠不十分として無罪となってしまう。絶望の淵に沈むカティヤが、思いつめた果てに下した決断とは!?

ドイツで実際に起きたネオナチによる連続テロ殺人事件をベースに、自身もトルコ系移民の子であるファティ・アキン監督が鮮烈なタッチで描く、愛と復讐の物語。

愛情、怒り、憎しみ、悲しみ……。カティヤは、さまざまな感情表現が要求される難しい役柄だ。クルーガーはどう演じたのか。

「はたして自分にこの役がこなせるだろうか。最初は不安もありました。エンディングに向けて、どのように演技を組み立てていけばよいのか。最後の瞬間を信憑性をもって演じられるのか、とても不安でした。だから、役作りには数カ月もかけたんです」

衝撃的なエンディングについて、ここで明かすわけにはいかないが、アキン監督によると、必然的な流れで決まったようだ。

「チェスのように脚本を書いていきました。主人公がいて、敵対者がいる。その関係の中で、主人公の動きを考えていった。観客も予測できないエンディングになったのではないでしょうか。エンディングのアイデアはかなり早い時期に着想したので、ダイアン(・クルーガー)ともじっくりカティヤの行動や気持ちについて話ができました」

クルーガーは、カティヤの気持ちを理解するため、カティヤと同じ境遇にある遺族と会い、彼らの話を聞いたという。

「彼らは筆舌に尽くしがたい苦悩をかかえている。心を開いて話に耳を傾けていると、だんだんと彼らに共感できるようになりました。これは大きな経験でした」

映画の舞台であるハンブルクを訪れたり、カティヤのようにタトゥーを試したりも。

「最終的にいちばん力になってくれたのは監督。全面的に信頼してついて行きました」

そういった努力の甲斐あって、カンヌ国際映画祭では主演女優賞を獲得。

「上映は最終週の夕方でした。完成したばかりで、まだ誰も見ていない作品。カンヌの観客は容赦ないので、とても緊張しました。でも、上映が終わって照明がつくと、場内の雰囲気で、この映画が受け入れられたと分かった。素晴らしい瞬間でした」

翌日、クロージングの日。身支度していると電話が鳴った。

「ファティからでした。泣いている。何かの賞を取ったことはすぐに分かった。車で会場に駆けつけ、主演女優賞を受けました。心血を注いで演じた。それを認められたことがうれしかった」

これまで、「トロイ」(04)、「戦場のアリア」(05)、「イングロリアス・バスターズ」(09)、「マリー・アントワネットに別れをつげて」(12)など、国際的に活躍してきたクルーガー。だが、意外にも母国語のドイツ語で演じるのは本作が初めてだ。

「かねてドイツ語で演技したいと思っていましたが、チャンスがなかった。とくにアキン監督とは一緒に仕事したかった。出会いから5年。ようやく実現しました。これを機に、これからもっとドイツ語作品に出たいですね」

『女は二度決断する』(2017、ドイツ)

監督:ファティ・アキン
出演:ダイアン・クルーガー、デニス・モシット、ヨハネス・クリシュ、ヌーマン・アチャル、ウルリッヒ・トゥクール

2018 年 4月14日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA他全国ロードショー。

公式サイト: http://www.bitters.co.jp/ketsudan/

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