外国映画

映画レビュー「風が踊る」デジタルリマスター版

2021年4月16日
CMの撮影で離島を訪れた女性カメラマンが、目の不自由な青年と出会い、心をひかれる。二人は台北で再会し、恋に落ちるが――。

ホウ・シャオシェン監督第2作

CM撮影で澎湖(ポンフー)島を訪れた、カメラマンのシンホエ。牛が引く荷車の上でハーモニカを吹く青年・チンタイに心をひかれ、夢中でシャッターを切りまくる。

恋人でディレクターのローザイもチンタイに興味を持ち、CMに起用することに。ところが、カメラを回し始めると、様子がおかしい。何と、チンタイは目が見えないのだ。

台北に戻ったシンホエは、街中で偶然チンタイと再会。交際が始まる。やがてチンタイは網膜手術を受けることに。一方、シンホエは、休暇をとった弟の代わりに故郷の村・鹿谷(ルーク)で小学校の教員を務めることになる。

視力を回復したチンタイは、鹿谷にシンホエを訪ねる。目の前に現れたのは思い描いたとおりの女性だった。のどかな村で楽しい日々をともに過ごす二人。ついにチンタイはシンホエにプロポーズするが――。

恋人がいることを言い出せないまま、チンタイに惹かれていくシンホエ。まさか恋人がいるとは思わず、シンホエにのめりこむチンタイ。

軽快なラブコメディの雰囲気の中に、ちょっぴり不安が漂う。そんな二人の心模様をポップな主題歌が盛り上げる。

後に台湾ニューシネマを牽引し、世界的巨匠となるホウ・シャオシェン監督が、まだ無名だった頃の、実にみずみずしい作品である。

「風櫃の少年」(83)の舞台でもある澎湖島、ヒロインの故郷として描かれる鹿谷、そして台北の街。どこにも必ず現れる子供たちの生き生きとした姿が印象的。

「冬冬の夏休み」(84)や「童年往時 時の流れ」(85)に通じるイメージが躍動しているという点で、ホウ監督の原点を示す映画と言えるかもしれない。

「台湾巨匠傑作選2021 侯孝賢監督40周年記念 ホウ・シャオシェン大特集」の開催記念特別上映作品。デジタルリマスター版で上映。

映画レビュー「風が踊る」デジタルリマスター版

風が踊る

1981、台湾

監督:ホウ・シャオシェン

出演:フォン・フェイフェイ、ケニー・ビー、アンソニー・チェン、メイ・ファン

公式サイト:https://taiwan-kyosho2021.com/

コピーライト:© 1982 Kam Sai (H.K.) Company © 2018 Taiwan Film Institute. All rights reserved


本特集では、監督・主演・プロデュース作品から、オリヴィエ・アサイヤス監督のドキュメンタリー「HHH:侯孝賢(デジタルリマスター版)」まで、全22作品が一挙上映される。
「フラワーズ・オブ・シャンハイ(4Kデジタルリマスター版)」は劇場初上映。

文責:沢宮 亘理(映画ライター・映画遊民)

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