日本映画

映画レビュー「クライング フリー セックス」

2018年9月4日
映画レビュー「クライング フリー セックス」
セックスしたはいいが、抜けなくなってしまった男と女。しかたなく、裸で繋がったままの状態で敵と戦うことに!

裸で“駅弁”状態のまま銃撃戦

ある秘密組織に潜入中のコブラとナオミ。拷問の悪夢にうなされるコブラの体に、セクシーなキャットスーツ姿のナオミが馬乗りになってきた。作戦決行前の緊張を解くため、「一発やろうよ」というわけだ。

なぜか尻込みするコブラだったが、ナオミはお構いなく、コブラに襲いかかる。実はコブラ、ちょっと変わった一物(いちもつ)の持ち主。そのせいか、セックスは文句なしに最高だった。

ところが、あまりの快感で我を忘れ、組織の兵士たちに現場を目撃されてしまう。ナオミは組織の親玉であるギドラの情婦。彼らとしては、見逃すわけにいかない。

追ってくる兵士たち。逃げようとするコブラとナオミ。だが、何たることか、アソコが外れないではないか。

しかたなく、ふたりは繋がったままの“駅弁”状態で逃亡。追っ手との熾烈な銃撃戦を繰り広げるのだった――。

男と女が、裸で交接したまま敵と戦う。この奇天烈なアイデアを映像化したのは、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭の常連、岩崎友彦監督。

アソコは抜けなくても、動きは自在。敵の攻撃方向に応じて、クルリと回転し、対面位から後背位、また対面位と、めまぐるしくポジションを変えながらの撃ち合いが愉快、痛快である。

コブラ役は、格闘技で鍛え上げた肉体が自慢のイタリア系アメリカ人俳優、マイケル・ファンコーニ。ナオミ役は、キム・ギドク監督「STOP」(15)で入魂の演技を見せた合アレン。

終始、恥ずかしすぎるポーズを崩さず、卑猥語を連呼し、銃を撃ちまくる。こういうぶっ飛んだヒロインを演じることのできる女優は希少。合アレンには心より拍手を送りたい。

ブリュッセルやプチョンなど世界の名だたる映画祭で会場を沸かせた、話題の作品。15分の短尺だが、中身は濃厚。短くても、これだけ刺激と挑発にあふれた映画がつくれるのだ。500円の割安料金もうれしい。

現在、本作をベースに長編の企画も進行中という。ナオミの青春時代、コブラとナオミのその後など、「知りたい」「見たい」部分が描かれるようだ。こちらも楽しみ。

クライング フリー セックス

2018、日本

監督:岩崎友彦

出演:合アレン、マイケル・ファンコーニ、高木公佑、鈴木佳恵、ブエノ、真砂 豪、ぬら田CAGE、木村圭作

2018年9月8日(土)より14日(金)まで、新宿K’s シネマにてロードショー。

公式サイト:https://www.cryingfreesex.com/


※予告編は監督のアカウントごと抹殺されたようなので少々お待ちくださいませ。

文責:沢宮 亘理(映画ライター・映画遊民)

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