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映画レビュー「セックス・ピストルズ 破壊の設計図」

2026年10月1日
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グレン・マトロック。シド・ヴィシャスの加入前にベースを担当していたオリジナルメンバー。彼はなぜピストルズを脱退したのか?

ピストルズの音楽的中心

1970年代半ばにニューヨークで誕生したパンクロックは、ただちにロンドンへと飛び火し、瞬く間にロックシーンを席巻した。その代表的バンドであり、パンクの代名詞とも言えるのが、セックス・ピストルズだ。

当時のロックシーンは、レッド・ツェッペリンやディープ・パープルなど、高度な演奏技術を売りにしたハードロックやプログレッシヴ・ロックが主流。一人前のプレーヤーとして認められるには、半端ならざる才能や訓練が必要だった。

そんな状況に苛立ち、反旗を翻したのが、セックス・ピストルズだった。ストレートで粗削りな演奏。反体制的な歌詞。そして、逆立てた髪の毛、安全ピンやチェーンなどのファッションも、既存のロックミュージシャンとは一線を画した。

バンドの顔となったのは、ボーカルのジョニー・ロットンと、ベースのシド・ヴィシャス。この二人こそがピストルズのアイコンだった。

しかし、それは飽くまでイメージの話。ピストルズの音楽を語るうえで、実は一人忘れてはならない男がいる。グレン・マトロックだ。シド・ヴィシャスの加入前に、ベースを担当していたオリジナルメンバー。マトロックこそはピストルズのナンバーの大半を作曲していた、バンドの音楽面での中軸だった。

にもかかわらず、75年の結成から2年後、突如としてバンドを脱退してしまう。後釜のシド・ヴィシャスがピストルズのシンボル的存在となったこともあり、マトロックの存在は忘れ去られた。

12曲中10曲をマトロック作品が占める、唯一のスタジオアルバム「勝手にしやがれ」がリリースされたのは、脱退後。その後、ほどなくしてピストルズは解散した。バンドにおけるマトロックの貢献について語られることはなかった。

それにしても、マトロックはなぜピストルズを去ったのか。ロットンと反りが合わなかったから? それともマネージャーのマルコム・マクラーレンのイメージ戦略? いずれにせよ、マトロックを失ったピストルズは崩壊。後には、シド・ヴィシャスと恋人ナンシー・スパンゲンの神話だけが残った。

太く短く燃え尽きた伝説のパンクバンド、セックス・ピストルズとは何だったのか。

本作は、ピストルズの音楽的中心でありながらバンドを追われ、過小評価されてきた偉大なるピストル、グレン・マトロック自身が、ピストルズ結成の経緯とバンド脱退の真相を語るドキュメンタリーである。

1990年に刊行されたマトロックの回想録をベースに、当時の社会状況、憧れのミュージシャン、バンドメンバーのエピソード、そして「アナーキー・イン・ザ・U.K.」誕生の瞬間などが、豊富なフッテージとともに紹介されている。

ギターのスティーヴ・ジョーンズ、ドラムのポール・クックなど、再結成後のピストルズでマトロックと活動をともにするメンバーや、ビリー・アイドル、デビー・ハリーら親交のあるミュージシャンの発言も収録。ロックファンには必見の映画である。

映画レビュー「セックス・ピストルズ 破壊の設計図」

セックス・ピストルズ 破壊の設計図

2025、アメリカ

監督:アンドレ・レリス、ニック・ミード

出演:グレン・マトロック、ジョニー・ロットン、シド・ヴィシャス、スティーヴ・ジョーンズ、ポール・クック、クリス・スペディング、デボラ・ハリー、ビリー・アイドル、ウェイン・クレイマー、ケニー・ジョーンズ、ファット・マイク、トレイシー・ガンズ、リチャード・ストレンジ

公開情報: 2026年10月2日 金曜日 より、新宿武蔵野館他 全国ロードショー

公式サイト:https://sexpistols-film.com/

コピーライト:© 2025, I WAS A TEENAGE SEX PISTOL PRODUCTION, LLC ALL RIGHTS RESERVED

配給:スターキャットアルバトロス・フィルム

文責:沢宮 亘理(映画ライター・映画遊民)

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