外国映画

映画レビュー「ヌーヴェルヴァーグ」

2026年7月9日
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映画史を変えた傑作「勝手にしやがれ」は、いかにして誕生したのか。若きゴダール、ベルモンド、セバーグが、1959年のパリに甦る。

「勝手にしやがれ」撮影の舞台裏

ゴダールの長編デビュー作にして、ヌーヴェルヴァーグの代表的映画「勝手にしやがれ」。その撮影前夜からクランクアップに至るまでの舞台裏を描いた作品だ。

あまりに有名な映画であり、俳優もスタッフも著名で、顔もよく知られている。にも関わらず、このような映画を作るのは実に大胆不敵と言うしかない。

一種の伝記映画である以上、登場人物が本物と似ていなければ、観客は引いてしまうからだ。実際、ハリウッド製の伝記映画は、その多くが無理のあるキャスティングで見る者を失望させ、白けさせてきた。

しかし、本作に登場する人物は、ゴダール、ベルモンド、セバーグ、トリュフォー、クタールetc、いずれも違和感なくスクリーンに収まっている。キャスティングには相当な時間を注ぎ込んだらしく、抜擢された俳優たちの役作りも完璧。パリの街を撮影当時の姿に引き戻す作業も入念だ。

「勝手にしやがれ」の誕生という映画史上の一大事件を正確に再現したい。リンクレイター監督が抱いたであろう強い思いが、俳優たちにも共有されているのだろう。

自ら天才と称し、不遜なまでに自信満々。そんなイメージとは裏腹に、カイエ誌の仲間たちが次々と長編デビューしていく中、ゴダールは一人取り残され焦燥感に駆られていた。本作は、そんな天才の人間的な一面にも触れている。

今となってはレジェンドばかりだが、当時は名もないスタッフ、俳優ばかり。ゴダール自身も無名の生意気な映画青年だった。もし「勝手にしやがれ」が失敗すれば、そのままフェイドアウトする可能性だってあったのだ。

何としても成功させたい。これまでにない映画を生み出し、皆を驚かせたい。そんなゴダールの無謀とも思えるチャレンジは、セバーグやスタッフを困惑させ、衝突を生みながらも、やがて前代未聞の独創的な作品を完成させるに至るのである。

リアルな背景とリアルな登場人物。見る者は1959年当時のパリへと誘われ、映画史を変えた傑作の誕生に立ち会う喜びを、ゴダールやベルモンドと分かち合うことだろう。

映画レビュー「ヌーヴェルヴァーグ」

ヌーヴェルヴァーグ

2025、フランス

監督:リチャード・リンクレイター

出演:ギヨーム・マルベック、ゾーイ・ドゥイッチ、オーブリー・デュラン

公開情報: 2026年7月10日 金曜日 より、新宿ピカデリー他 全国ロードショー

公式サイト:https://nouvellevague-movie.com/

コピーライト:© 2025 ARP - Detour Development LLC/©JeanLouisFernandez 

配給:AMGエンタテインメント

文責:沢宮 亘理(映画ライター・映画遊民)

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