行く手を阻む者は容赦しない
1985年、ハリウッド。ポルノ女優として頂点をきわめたものの、そろそろ賞味期限が近づいてきたマキシーン・ミンクス。そこで新作ホラー映画のオーディションに挑んだところ、生々しい演技が女性監督に気に入られ、見事に主役の座をつかみ取る。
悪魔憑き映画の傑作「ピューリタン」の続編。監督はマキシーンの才能を信じ、気合が入っている。成功させればホラー映画の新たな女王だ。しかし、そんなマキシーンの行く手を阻む動きが――。
まずは、何者かに雇われてマキシーンに接近してくる私立探偵。マキシーンが関わった過去の事件を突き付けた上で、依頼人との接触を持ちかける。依頼人とは誰なのか。目的は何なのか。
一方、マキシーンの知人や友人が立て続けに惨殺される事件が起こる。ロサンゼルスの街を恐怖に陥れている連続殺人犯ナイト・ストーカーの仕業なのか。だとしたら、なぜマキシーンの周辺の人物が集中的に狙われたのか。
本作は、これらの謎を解き明かすミステリー映画であると同時に、マキシーンが謎の人物と対峙し、決着をつける、アクション映画でもある。
監督はタイ・ウェスト、主演はミア・ゴス。「X エックス」(2022)、「Pearl パール」(2022)に続く3部作の完結編である。
「Pearl パール」と「X エックス」、「X エックス」と本作は、それぞれ対を成しており、本作の随所に「X エックス」の場面が、マキシーンのトラウマや記録映像として映し出される。
「X エックス」を見ていないと、その意味をすんなり理解できないかもしれない。しかし、本作を単独で見ても面白さは十分に味わえるはずだ。
とにかくヒロインが魅力的。マキシーンを見て誰もが思うのは、彼女が絶大な自信と逞しい生存能力、そして戦闘能力の持ち主ということだろう。だからこそ、彼女は「X エックス」でただ一人生き残ったのだ。
本作では、ナイフを手に襲ってくるキートン姿の男を返り討ちにする序盤の場面、終盤では宿敵を仕留める場面。ともにタイ・ウェスト監督の残酷演出が光るショッキング・シーンに、マキシーンの圧倒的なまでのアグレッシブさが表現されている。
歯向かう敵は容赦なく葬り去り、ハリウッドスターという夢を実現する。マキシーンにとっての敵は、女性を餌食にするサイコパスばかりではない。女性にマウントをとる男性社会、ポルノやホラーを敵視するピューリタンも、彼女にとっては征服すべき対象なのだ。
MaXXXine マキシーン
2024、アメリカ
監督:タイ・ウェスト
出演:ミア・ゴス、ケヴィン・ベーコン、ジャンカルロ・エスポジート、エリザベス・デビッキ、モーゼス・サムニー、リリー・コリンズ
公開情報: 2025年6月6日 金曜日 より、TOHOシネマズ 日比谷他 全国ロードショー
公式サイト:https://happinet-phantom.com/maxxxine/
コピーライト:© 2024 Starmaker Rights LLC. All Rights Reserved.
配給:ハピネットファントム・スタジオ