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映画レビュー「MaXXXine マキシーン」

2025年6月5日
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オーディションを通過し、スター女優への道が開けた。そんなヒロインの前に謎の人物が現われ、周囲では恐ろしい殺人事件が続発する。

行く手を阻む者は容赦しない

1985年、ハリウッド。ポルノ女優として頂点をきわめたものの、そろそろ賞味期限が近づいてきたマキシーン・ミンクス。そこで新作ホラー映画のオーディションに挑んだところ、生々しい演技が女性監督に気に入られ、見事に主役の座をつかみ取る。

悪魔憑き映画の傑作「ピューリタン」の続編。監督はマキシーンの才能を信じ、気合が入っている。成功させればホラー映画の新たな女王だ。しかし、そんなマキシーンの行く手を阻む動きが――。

まずは、何者かに雇われてマキシーンに接近してくる私立探偵。マキシーンが関わった過去の事件を突き付けた上で、依頼人との接触を持ちかける。依頼人とは誰なのか。目的は何なのか。

一方、マキシーンの知人や友人が立て続けに惨殺される事件が起こる。ロサンゼルスの街を恐怖に陥れている連続殺人犯ナイト・ストーカーの仕業なのか。だとしたら、なぜマキシーンの周辺の人物が集中的に狙われたのか。

本作は、これらの謎を解き明かすミステリー映画であると同時に、マキシーンが謎の人物と対峙し、決着をつける、アクション映画でもある。

監督はタイ・ウェスト、主演はミア・ゴス。「X エックス」(2022)、「Pearl パール」(2022)に続く3部作の完結編である。

「Pearl パール」と「X エックス」、「X エックス」と本作は、それぞれ対を成しており、本作の随所に「X エックス」の場面が、マキシーンのトラウマや記録映像として映し出される。

「X エックス」を見ていないと、その意味をすんなり理解できないかもしれない。しかし、本作を単独で見ても面白さは十分に味わえるはずだ。

とにかくヒロインが魅力的。マキシーンを見て誰もが思うのは、彼女が絶大な自信と逞しい生存能力、そして戦闘能力の持ち主ということだろう。だからこそ、彼女は「X エックス」でただ一人生き残ったのだ。

本作では、ナイフを手に襲ってくるキートン姿の男を返り討ちにする序盤の場面、終盤では宿敵を仕留める場面。ともにタイ・ウェスト監督の残酷演出が光るショッキング・シーンに、マキシーンの圧倒的なまでのアグレッシブさが表現されている。

歯向かう敵は容赦なく葬り去り、ハリウッドスターという夢を実現する。マキシーンにとっての敵は、女性を餌食にするサイコパスばかりではない。女性にマウントをとる男性社会、ポルノやホラーを敵視するピューリタンも、彼女にとっては征服すべき対象なのだ。

映画レビュー「MaXXXine マキシーン」

MaXXXine マキシーン

2024、アメリカ

監督:タイ・ウェスト

出演:ミア・ゴス、ケヴィン・ベーコン、ジャンカルロ・エスポジート、エリザベス・デビッキ、モーゼス・サムニー、リリー・コリンズ

公開情報: 2025年6月6日 金曜日 より、TOHOシネマズ 日比谷他 全国ロードショー

公式サイト:https://happinet-phantom.com/maxxxine/

コピーライト:© 2024 Starmaker Rights LLC. All Rights Reserved.

配給:ハピネットファントム・スタジオ

文責:沢宮 亘理(映画ライター・映画遊民)

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