生来の障害に委縮せず、末期がんの宣告にも怯まず、リビドー全開で燃え尽きたイケダ。その最後の日々を記録したドキュメンタリー。

セックスがしたい、恋愛がしたい

イケダは生まれついての障害者である。四肢軟骨無形成症、通称コビト症で、身長1メートル22センチ。

ただし、という言い方が適切かどうか分からないが、イケメンである。頭の回転が速く、ユーモアにも富む。さらに言えば、好色漢でもある。

肉体的にはハンディを背負っているが、生き方はアグレッシブ。可能な範囲で人生を謳歌してきた。

ところが40歳の誕生日目前に、ステージ4の胃ガンと宣告される。余命はわずか。残された時間をどうするか。イケダは、大好きなセックスに当てることにしたのだった。

不特定多数のプロの女性とセックスしまくり、その様子をカメラに収める。いわゆるハメ撮り。イケダはその映像をまとめ、ドキュメンタリー映画として残すことを思いつく。

友人の脚本家・真野勝成が、新たにインタビューと撮影を引き受ける。20年来の親友なればこその、余計な気遣いのないカジュアルな会話は、バディムービーさながら。この映画の最大の魅力の一つでもある。

会話と同様に、映像も遠慮がない。欲望全開で風俗嬢とプレイする短躯の男を、カメラがズカズカと追っていく。

実はイケダには、風俗嬢とのセックス以外に、願望があった。それは恋愛。プロの女性とのセックス経験は豊富だが、普通の女性との恋愛経験は乏しかったようだ。

最後に恋愛をしてみたい。だが、いきなり本物の恋愛は無理だからと、疑似恋愛の相手を募り、デート風景を撮影する。

相手には女優の毛利悟己が選ばれた。毛利と並んでソファに座り会話を交わすイケダが、少年のようにはにかむ。演技している毛利も、しだいにイケダに惹かれていくように見える。

それは迫真の演技なのか、リアルな感情の表出なのか? ドキュメンタリーとフィクション。境界は曖昧となり、思わぬ展開を招く。映画の魔法というべきか。

初体験を語るシーンもいい。人に見られたくないからと、相模原からはるばる名古屋の歓楽街まで足を延ばした。「ぼくでいいの?」と問いかけるイケダに、相手は「同じ人間でしょ」と答えたという。素敵な話ではないか。

肉体的ハンディキャップに萎縮せず、末期ガンの宣告に怖気づくこともなく、従容として運命を受け入れ、リビドー全開のまま燃え尽きた。何て粋な人生だろうと思う。

『愛について語るときにイケダの語ること』(2020、日本)

監督:池田英彦

編集:佐々木誠

出演:池田英彦、毛利悟巳

2021年6月25日(金)より、アップリンク吉祥寺他全国ロードショー。

公式サイト:https://ikedakataru.movie

コピーライト:© 2021 愛について語るときにイケダの語ること