外国映画

映画レビュー「男と女 人生最良の日々」

2020年1月30日
恋愛映画の傑作「男と女」が公開されて53年。あのカップルの再会劇がついに実現した。監督はもちろんクロード・ルルーシュ。

新たに始まるラブストーリー

1966年に製作された恋愛映画の傑作「男と女」。その53年後を描いた作品である。前作同様、アンヌをアヌーク・エーメ、ジャン・ルイをジャン=ルイ・トランティニャンが演じている。監督はもちろんクロード・ルルーシュ。

かつて花形レーサーだったジャン・ルイは、いまや介護施設で暮らす身だ。すっかり年老いてはいるが、女性好きは相変わらずで、介護士の女性を口説きまくる姿は、往年のプレイボーイの面目躍如。

そんなジャン・ルイのもとに、かつて恋人だったアンヌが訪れる。小さな店を経営していて、矍鑠(かくしゃく)たる佇まいのアンヌ。女の色香がまだ残る。

ジャン・ルイの息子が、老い先短いであろう父親のために再会をお膳立てしたのだ。だが、認知症を患ったジャン・ルイは、アンヌを見てもすぐには思い出すことができない。

いや、声は覚えている。目は覚えている。話しているうちに徐々に記憶が甦ってくるようだ。

アンヌが髪をかき上げる仕草に強く反応する。「かき上げてみて」とジャン・ルイ。50年の時間が一気に巻き戻りかける。胸が熱くなる瞬間である。

「店があるから」。再びの恋を予感したか。帰ろうとするアンヌ。ゾクゾクする演出だ。

「ドライブしよう」。「逃げ出そう」。現実なのか、夢なのか。思い出のノルマンディへドライブ。初めて結ばれたホテルの部屋。

列車で帰ったアンヌをジャン・ルイが車で先回りし、駅のホームで抱き合うシーン。アンヌと二人の子供たちが戯れる海辺に到着したジャン・ルイが、車のヘッドライトを点滅させ合図するシーン。

映画は、「男と女」の名場面を回想シーンとして組み込みながら、いまだに愛し合う二人の男と女を、慈しむような眼差しで追って行く。53年前の「男と女」、その色褪せぬ輝きを、改めて思い知らせてくれる一作でもある。

映画レビュー「男と女 人生最良の日々」

男と女 人生最良の日々

2019、フランス

監督:クロード・ルルーシュ

出演:アヌーク・エーメ、ジャン=ルイ・トランティニャン、スアド・アミドゥ、アントワーヌ・シレ、モニカ・ベルッチ

公開情報: 2020年1月31日 金曜日 より、TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ他 全国ロードショー

コピーライト:© 2019 Les Films 13 – Davis Films – France 2 Cinéma

文責:沢宮 亘理(映画ライター・映画遊民)

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