軍の芸能部隊に加入したシャオピン。彼女の支えになる模範兵リウ・フォン。ある事件をきっかけに、二人の運命が狂い始める。

時代に翻弄された若者たちの青春

中国人民解放軍に、文工団(文芸工作団)という部隊がある。歌舞、演劇など、各ジャンルで傑出した才能を持つ者だけが入団できる狭き門。

芸能を志す若者にとっては、憧れの場所と言えるだろう。解放軍の将兵を慰問して士気を鼓舞したり、軍の行事に出演して場を盛り上げたりするのが、主な役割だ。

1976年。17歳のシャオピンが、ここにダンサーとして入団してくる。父親は反革命分子として苦汁を嘗めさせられた。そんな父親に晴れ姿を見せたい。

シャオピンは、さっそく写真館に赴き、軍服姿のポートレートを撮影する。だが、こっそり同僚の軍服を拝借したことが発覚。団員から激しいバッシングを受けてしまう。

都会の裕福な家庭の出身者が多い中、シャオピンは農村の出身。いじめの標的にもなりやすいのだろう。

胸の部分にスポンジを当てた服が干されているのを見れば、シャオピンの仕業と騒ぎ立てられ、あわやリンチという場面も。

ダンスの練習で若くはちきれんばかりの肉体を躍動させるシーン。プールで水しぶきを上げながら戯れるシーン。画面いっぱいに青春の喜びがはじけるほどに、シャオピンの孤独の影が際立つ。

本作の語り手も務めるダンサーのスイツは、シャオピンに同情しつつも、前面に出てかばうほどの勇気はない。シャオピンにとって心の支えは、模範兵のリウ・フォンだけだ。

毛沢東が死去して、文化大革命が終焉すると、父親は名誉を回復するが、病死。シャオピンに悲報を伝えたリウ・フォンは、「我慢するな。泣けばいい」と、やさしく語りかける。

だが、そのリウ・フォンは、恋心を抱く歌手のディンディンに対し猥褻行為を働いたとして、他部隊へ異動させられてしまう。

リウ・フォンの潔白を信じるシャオピンは当局の仕打ちに憤り、舞台出演を拒否。それがもとでシャオピンも文工団を追われ、野戦病院の看護婦となる。

毛沢東の死、周恩来の死、そして、文革の終息。さらに、中越戦争の勃発。時代が音を立てて変わっていく中で、リウ・フォンは肉体に、シャオピンは精神に大きな傷を負う。

リウ・フォンの右腕を奪い、シャオピンの精神を破壊した中越戦争。一億円以上の予算を注ぎ込み、CGを使わずに完成させたという戦場シーンは迫力満点だ。そのクオリティは、「戦場のレクイエム」(07)をはるかに凌駕。本作のハイライトの一つとなっている。

やがて、文工団はその役割を終えて解散。団員たちは散り散りとなり、それぞれの人生を歩み始める。終盤、シャオピンとリウ・フォンが再会する場面で、巨匠フォン・シャオガン監督のエモーショナルな演出は最高潮に到達。見る者の涙を絞る。

フォン監督も、原作者のゲリン・ヤンも、文工団の出身という。彼らの体験や記憶は物語として見事に昇華され、スケール豊かな、比類なき青春映画の傑作が生まれた。

『芳華-Youth-』(2017、中国)

監督:フォン・シャオガン(馮小剛)
出演:ホアン・シュエン(黄軒)、ミャオ・ミャオ(苗苗)、チョン・チューシー(鐘楚曦)、ヤン・ツァイユー(楊采鈺)

2019年4月12日(金)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA他全国ロードショー。

公式サイト:http://www.houka-youth.com/

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