外国映画

映画レビュー「ナースコール」

2026年3月5日
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一人の女性看護師に密着し、ハードワークの実態を臨場感たっぷりに描き出す。世界が直視すべき病院のリアルがここにある。

看護師の実態を活写

スイスの大きな公立病院。その日、看護師のフロリアが出勤すると、スタッフ三人のうち一人が病欠。二十数人の患者を二人で看ることになる。目の回るような一日が始まった。

高齢女性のおむつ交換を補助し、遅刻してきた男性を手術室へ送り届け、薬剤を補充し、点滴剤を投与し、痛みの程度を聞き取り……。多種多様なルーティーンワークを的確かつスピーディにこなしつつ、個々の患者の不安や愚痴に付き合い、理不尽なクレームにも対応する。プロフェッショナルな手際のよさと、共感力、そしてタフさがなければ、とても務まるものではない。

本作は、主人公であるフロリアの行動に密着し、この途轍もないハードワークの実態を臨場感たっぷりに描写していく。

とにかくテンポが早い。ものすごい速さで病室を移動し、さまざまな業務をこなしてくフロリア。その一挙一動を逃すまいと、俊敏な動きでカメラが彼女を追跡する。

意表を突くトラブル、ヒヤリとする瞬間、突如として訪れる患者の死。まるでサスペンス映画か、アクション映画を見ているような気分だ。しかし、それは決して誇張した演出などではなく、現実のリアルな再現なのだ。

全世界的に看護師が不足している。激務で低収入。となれば、敬遠されるのは当たり前だ。だが、看護師ほど社会的に不可欠な仕事も少ない。誰もが病気になり、ケガをする。病院の世話を受けずに人生を過ごす人など、ほとんどいないだろう。エッセンシャルワークの最たるもの、それが看護師だ。

本作は、入院経験のある人にとっては、ある程度の既視感を持って見ることが可能だろうし、そうでない人にとっては、看護師という仕事を改めて発見するいい機会になるのではないか。

主演は、ミヒャエル・ハネケ監督の「白いリボン」(2009)で注目され、イルケル・チャタク監督の「ありふれた教室」(2023)で絶賛された実力派レオニー・ベネシュ。撮影に先立ち、病院でインターンシップに参加し、看護師の身体動作を学んだそうだが、まさに納得の名演である。

映画レビュー「ナースコール」

ナースコール

2025、スイス/ドイツ

監督:ペトラ・フォルペ

出演:レオニー・ベネシュ、ソニア・リーゼン、アリレザ・バイラム、セルマ・ジャマールアルディーン

公開情報: 2026年3月6日 金曜日 より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他 全国ロードショー

公式サイト:https://nursecall-movie.com/

コピーライト:© 2025 Zodiac Pictures Ltd / MMC Zodiac GmbH

配給:スターキャットアルバトロス・フィルム

文責:沢宮 亘理(映画ライター・映画遊民)

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