社会のデジタル化で苦境に立つ書店業界。ブックフェアに集った古書店主、ディーラー、コレクターらが、古書への思いを語り尽くす。

本は永久に不滅か

ネット化、デジタル化の波は、出版業界、書店業界に痛烈な打撃を与えている。とりわけ身につまされるのは、小型書店の惨状だ。突如として閉店し、街から消えていく。寂しい。

これは、新刊メインの書店ばかりではない。古書店も事情は全く同じだ。神保町や早稲田の古書店街もずいぶんと寂しくなった。廃業した店も多く、櫛(くし)の歯が欠けたような光景が広がっている。

このまま絶滅への道を歩むのか、それとも起死回生の奇跡が起こるのか――。

本好きにとっては看過できない書店の危機だが、この問題はアメリカでも深刻なようだ。

本作はニューヨークの古書店主、ディーラー、コレクターなど、古書、希少本に憑かれた人々の声を集めたドキュメンタリー。50年代は368店あったニューヨークの書店街も、現在は79店にまで激減した。東京同様に、衰退著しい古書店業界で働くニューヨークの業界人は、いま何を思うのか。

「古書店に来る世代が消えてしまった」。「印刷文化の消滅だ」。そんな嘆き節が飛び出す一方、「手紙、サイン、手稿などもコレクションの対象となった」、「コレクションを発展させるとアーカイヴになる」など、古書の可能性を指摘する声も。

「ネット社会はブックセラーにとって便利な半面、発見の喜びを奪ってしまった。諸刃の剣だ」。そんな分析もある。

「『オズの魔法使い』」が初版本だと店主は気づかず、たった5ドルで手に入れた」。思い出話も披露される。

古書をめぐる歴史、現状、個人的エピソードなどが、有名無名さまざまな人々の口から語られる。共通するのは、彼らが皆、本をこよなく愛していることだ。

だが、愛の強さだけで立ち行くほど、古書の世界は甘くないのも確か。ひっそりとではあるが進行する世代交代、男性優位だった業界にゆさぶりをかけるウーマンパワーなどは、生き残りにつながる楽観材料かもしれない。

インタビュー映像の合間に狂言回しのように登場する女性は、作家・エッセイストのフラン・レボウィッツ。古書にまつわるシニカルな一言一言が、絶妙なスパイスになっている。エンドロールの後にも興味深いエピソードを聞かせてくれるので、くれぐれも最後まで席をお立ちにならぬよう。

『ブックセラーズ』(2019、アメリカ)

監督:D.W.ヤング

4月23日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺他全国ロードショー。

公式サイト:http://moviola.jp/booksellers/

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