ヒロインが書いた脚本は、名画盗難事件を暴くものだった。映画の製作が進む中、マフィアの魔手が迫る。ヒロインの運命やいかに!?

1本のシナリオが事件を暴く

主人公のヴァレリア(ミカエラ・ラマッツォッティ)は、映画製作会社の秘書。しかし、彼女にはもう一つ裏の顔がある。売れっ子脚本家であるアレッサンドロ(アレッサンドロ・ガスマン)のゴーストライターをしているのだ。

男女の関係もあるらしいアレッサンドロのため、ひたすら裏方に徹し、ヒット作を代筆し続けるヴァレリア。しかし、最近はアイデアも枯渇気味だ。

そんなヴァレリアに、一人の老人(レナート・カルペンティエーリ)が接触してくる。未解決だったカラヴァッジョの名画盗難事件。その真相を教えるから、シナリオを書いて映画化してほしいというのだ。

老人はラックという名で、なぜかヴァレリアの仕事も、同居する母親アマリア(ラウラ・モランテ)のことも知っていた。ラックによると、事件はマフィアの仕業だとのこと。

渡りに船とばかり、さっそくパソコンに向かうヴァレリア。完成したプロットは、アレッサンドロを経由して、プロデューサーのもとへ。「最高傑作だ!」。興奮したプロデューサーは、直ちに映画化を決定。監督も巨匠のクンツェ(イエジー・スコリモフスキ)に決まった。

製作は順調に進むかと思えた。ところが、映画によって犯罪が暴かれることを知ったマフィアが動き出す。

なぜ事件の真相が発覚したのか。秘密はどこから漏れたのか。マフィアがまず狙ったのは、脚本家のアレッサンドロだった――。

見知らぬ男から秘密を知らされたヒロインが、自分の意思とは無関係に、恐ろしいマフィアの世界に足を踏み入れていく。一種の巻き込まれ型サスペンスと言ってよいだろう。

ラックはなぜヴァレリアに目を付けたのか? そもそもラックの正体は何なのか? ヴァレリアは脚本を最後まで執筆し、映画を完成に導くことができるのか? さらには、ヴァレリアとアレッサンドロとの関係は?

マフィア側とヴァレリア側とのスリリングな攻防戦を経ながら、しだいに浮かび上がる人物の相関図。最後は、すべての謎や課題が解消する。鮮やかなストーリー・テリングだ。

そして、もう一つ、注目したいのが、ヴァレリアの変身ぶりだ。黒縁メガネを外し、コンタクトを装着。真っ赤なルージュを引いて、「ニキータ」ふうのヘアスタイルに。

物語の急転する中盤、ヴァレリアは図らずも日陰の女であることを止め、フェロモンたっぷりのセクシー・ウーマンへと変貌を遂げるのだ。それは、女性としての強烈な自己顕示であり、アグレッシヴな人生へのシフトチェンジでもあろう。

サスペンスの中に、映画愛をあふれさせ、さらには、ヒロインへの讃歌も謳い上げる。何とも粋な作品。ロベルト・アンドー監督、さすがである。

『盗まれたカラヴァッジョ』(2018、イタリア/フランス)

監督:ロベルト・アンドー
出演:ミカエラ・ラマッツォッティ、アレッサンドロ・ガスマン、イエジー・スコリモフスキ、レナート・カルペンティエーリ、ラウラ・モランテ

2020年1月17日(金)より、YEBISU GARDEN CINEMA他全国ロードショー。

公式サイト:https://senlis.co.jp/caravaggio/

コピーライト:©2018 Bibi Film – Agat Film & Cie