7月18日(金)から26日(土)まで開催されたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2025。海外招待作品「火山のふもとで」は、第97回アカデミー賞国際長編映画賞(旧外国語映画賞)部門でポーランド代表に選出された注目作である。
観光客が一夜にして難民に
火山の島として知られるスペインのテネリフェ島に、観光で訪れていたウクライナ人の4人家族。休暇を過ごし最終日を迎えるが、翌朝の帰国便が突然キャンセルされた。ロシアがウクライナに侵攻したのだ。
帰国の道を閉ざされた家族は、島に留まらざるを得なくなる。ニュース映像からは祖国の緊迫した状況が伝わってくるが、どうすることもできない。家族のイライラは募るばかりだ。
ただホテルに籠っているわけにもいかないから、しかたなく観光するのだが、心から楽しむことはできない。
そんな中、娘のソフィアは、思春期の少女らしい冒険心と気まぐれさを発揮し、ひとり島をぶらつく。祖国の非常事態が気がかりだが、せっかくの休暇を無駄にしたくないという気持ちも強いのだろう。
ソフィアはある少年と知り合って、会話を交わす仲になり、その進展に興味をかき立てられる。だが、ソフィアにその気はないようで、観客の期待はあっさり潰(つい)えてしまう。
思わせぶりで何を考えているか分からない少女である。そんな彼女が断崖からダイブして遊ぶ地元の少女たちに交じり、海に飛び込むシーンが印象的。物語の大筋とは関係ないが、彼女が本来求めていたであろう幸福感、解放感が凝縮されていて素晴らしい。
ロシアのウクライナ侵攻という、実際に起きて今もなお継続中の出来事をテーマにした作品。物語はフィクションだが、取り巻く状況はノンフィクション。そのリアルな緊張感が全編に息づいている。
火山のふもとで
2024、ポーランド
監督:ダミアン・コツル
出演:ソフィア・ベレゾウスカ、ロマン・ルツキー、アナスタシア・カルピエンコ、フェードル・プガチョフ、マイク・メンサー
公式サイト:https://www.skipcity-dcf.jp/2025/
コピーライト:© Lizart Film, Hawk Art, MGM, TVP